Kのhimaブログ

暇人が気まぐれに語ります。

専門部会は知っていた、ワクチンの「生体内分布」

新型コロナワクチンについて、
前々回紹介した国会の議事録のほかにも、
厚労省の審議会の議事録が閲覧できるみたいです。


例えば、
厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)
というのがあって、このページ↓を見ると、
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_284075.html
この画像↓のようにリストが並んでいます。


コロナワクチン関連の審議会には、そのほかにも次のようなものがあるようです。


厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127713.html


厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127714.html


厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産・流通部会)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127716.html


そこでおれは、こんなニュース↓があったのを思い出したんですよ。

『米製薬大手ファイザー製の新型コロナウイルス感染症ワクチンについて、厚生労働省の専門部会は(2月)12日、有効性と安全性が確認されたとして、国が審査手続きを簡略化して特例承認することを了承した。』


この「専門部会」の議事録が見てみたいなー、と。
ところが上に挙げたものの中には、この「専門部会」らしいものは、ありません。どこなのか?


ここ↓でした。
薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji_127852.html


けっこう長いし難しいところもあるので、ざっと目を通しただけですが、
問題の2月12日の議事録
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16949.html
から、印象に残った部分を2つ紹介します。


■1.「承認」前の治験は1か月!
え? 違うの? そういうふうに読めるんですけど?

○説明者 議題1、コミナティ筋注の製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。

……

続いて、本剤の安全性について御説明いたします。43ページから「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。

まず、臨床試験で認められた主な有害事象について御説明いたします。臨床試験では、治験薬接種後7日間、ワクチン接種による特徴的な局所反応及び全身性の事象が被験者日誌により収集されました

44ページの表22に海外試験の結果を、45ページの表23に国内試験の結果を示しています。日誌により収集された症状は、表の左から2列目に示している各事象です。海外試験、国内試験のいずれでも、本剤接種後、多くの被験者で注射部位疼痛、疲労、頭痛などの局所反応、全身性の事象が認められました。ほとんどの事象が軽度または中等度であるものの、一部グレード3以上の事象も認められました。

事象の発現時期については、45ページの表23の下の段落に記載しています。国内試験で、局所反応は多くが接種当日から3日目に認められ、ほとんどが発現から1~3.5日後までに消失しました。全身反応は多くが接種2~4日目に認められ、ほとんどが発現から1日後までに消失しました。なお、臨床試験では、これらの事象が認められた場合、解熱鎮痛剤の使用は可能とされていました。

また、局所反応及び全身反応の接種回別及び年齢別の発現状況について、46ページの表24と47ページの表25に海外試験と国内試験の結果をそれぞれ示しています。1回目接種後よりも2回目接種後に高年齢層よりも非高年齢層の被験者で発現割合が高いことが確認されました。

有害事象については、治験薬接種後7日間の被験者日誌による収集以外に報告されたもののほか、治験薬接種後1か月までの有害事象についても確認されていますが、治験薬接種後7日間に認められた事象とおおむね同様でした

以上、臨床試験で認められた事象は忍容可能であるものの、グレード3以上の全身性の事象や37.5℃以上の発熱が一定の割合で認められており、これらは日常生活に影響を及ぼす可能性があり、被接種者にとって重要な情報であることから、医療従事者や被接種者に情報提供する必要があると判断しました。また、副反応の発現時期や持続時間、症状発現時の対応、医療機関の受診や解熱鎮痛剤の使用に関する説明についても資材で情報提供される予定です。


■2.認識されていた「生体内分布」

○事務局 事務局でございます。

……

事前に書面またはメールで事務局に御質問、コメントをいただいていた先生がございますので、先にそれについて回答させていただければと思います。

○説明者 機構より御説明いたします。

まず、石井委員より事前にコメントをいただいております。安全性についてモデル遺伝子を用いた非臨床試験において、肝臓に導入遺伝子が発現することが報告されています。また、本剤はSタンパク質全長をコードし、in vitroでは細胞表面にSタンパク質が発現することが確認されています。本剤を投与されたヒトにおいて、肝細胞表面にSタンパク質が発現し、2回目の投与時に既に誘導されていた免疫系により肝臓の細胞に影響が生じ、反応原性事象などにつながっている可能性がないか。また、肝疾患を持つ人で特に有害事象が懸念されることがないか御説明をお願いいたしますと御質問をいただいております。

こちら、審査報告書22ページ、4.2.2項に示しておりますが、ラットでは、本剤を筋肉内に接種すると、投与部位以外にも肝臓、脾臓、副腎及び卵巣などに分布し、細胞表面にSタンパク質が発現すると考えられます。その安全性評価としては、本剤では報告書24ページの5.2項に記載のとおり、ラットを用いた反復投与毒性試験が実施され、Sタンパク質に対する免疫反応(抗体産生等)の影響が評価されていますが、肝臓を含めた全身の組織において安全性に懸念は認められていません

なお、海外試験では軽度の肝疾患を持つ人が約200例組み入れられていますが、肝疾患を持つ人に特化した安全性評価は実施されておりません。肝疾患を含む基礎疾患のある人での安全性情報は製造販売後に情報収集される予定です。

御説明は以上となります。

○清田部会長 石井先生、よろしいでしょうか。

○石井委員 御説明ありがとうございました。理解いたしました。

『……ラットでは、本剤を筋肉内に接種すると、投与部位以外にも肝臓、脾臓、副腎及び卵巣などに分布し、細胞表面にSタンパク質が発現すると考えられます。』


これって、6月の初め頃に、カナダのワクチン研究者が「日本の資料から大変なことが判った」とか何とか言ってるのが話題になったのと、同じ情報でしょう。この部会の人たちは、その情報をこの時すでに知っていたんですね。(当り前と言えば当り前か。)
それなのに「安全性に懸念は認められていません」の一言で片づけてしまいました。本当にこれでよかったんでしょうか?


というわけで、なかなか興味深いことが判りましたね。
厚労省の審議会の議事録を読んでみるのも、なかなか有意義なようです。